グループホームの内装における条件や注意点を詳しく紹介
2023/03/13
コラム

グループホームでは、内装がとても重要視されます。グループホームには、認知症高齢者の入居する施設や障がい者の入居する施設などがありますが、どちらの施設でも入居者にとって使いやすく、介護スタッフが動きやすい内装でなければいけません。

この記事では、グループホームの内装にお悩みの方に向けて、グループホームの建物の条件や内装の注意点、工事にかかる費用などを解説していきます。グループホームの内装について知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

グループホームとは

グループホームはスウェーデンから伝わった新しい福祉施設の形で、少人数で共同生活を送る住まいのことを指します。グループホームでは、介護スタッフが日常生活のサポートを行いつつ、入居者が自分でできることは自分で行うという自立した生活を守った暮らしができるのが特徴です。

グループホームの入居人数は施設ごとに多少違いがありますが、おおよそ5人から9人となっています。グループホームには、認知症高齢者向けのものと障がい者向けのものがあるので、それぞれの特徴を見ていきましょう。

認知症高齢者グループホーム

認知症高齢者グループホームは、認知症の高齢者のための施設になります。認知症に特化しているため、認知症を発症している方のみが対象です。

認知症の方はどんな行動をするのかが分からないので、突然の事態に対応できるように認知症に詳しいスタッフが24時間常駐し、安心して生活ができるようになっています。

認知症グループホームを利用すれば、認知症の進行を遅らせることができるというメリットがある他、利用者が安心して生活できるというのも利点です。

介護付き老人ホームでも認知症の方を受け入れている施設はありますが、身の回りのことがある程度自分で行えたり、身体が動かせるという場合は、認知症高齢者グループホームを利用したほうが良いとされるケースも少なくありません。

障がい者グループホーム

障がい者グループホームは、身体障がいや知的障がい、精神障がいなどがある方が入居する施設です。病院に入院されていた方が、地域の中で生活することに慣れていくというために利用されることもあります。

支援を受ければ自立した生活ができる方が入居の対象で、専門のスタッフのサポートを受けながら共同生活していきます。障がい者手帳を持っていて、支援区分が1~6に認定されている場合は入居の対象です。しかし、審査があるので必ず入居できるとは限りません。

障がい者向けのグループホームは、自治体により入居できる期間が定められている場合があります。利用期間が決まっていない場合は滞在型となりますが、定められているところでは3年が限度です。

グループホームの建物の条件

グループホームでは少人数で共同生活を行いますが、少人数が暮らしていけるだけの建物であれば、どのような建物でも良いというわけではありません。グループホームとして利用する建物は、建築基準法によって条件が定められています。これが守られていない場合は、グループホームとして運営することはできません。

まず、土地の条件として、東京都の場合は敷地面積が300~400㎡ほど必要です。そして、1ユニットの入居者は5名から9名まで、隣接して2ユニットまで作れます。ユニットは「建物1つ」のことで、特定の条件を満たしていれば3ユニットまで併設することが可能です。

その他にも、台所や食堂、水回りなどにも条件がありますが、自治体によって細かな条件が異なるため、事前に自治体に確認しておきましょう。

グループホームの内装は建築基準法に注意

グループホームを建築する場合、建築基準法を遵守して建てなければいけません。建築基準法の目的は、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資すること」と建築基準法

1条で掲げられています。

そのため、グループホームでは、内装も建築基準法の法令に基づいて決めていかなければいけません。ここでは、内装ではどのような点に注意していく必要があるのか、部屋ごとに詳しく解説していきます。

  • 居室
  • 居間・食堂
  • 水回り
  • 台所

順番に見ていきましょう。

居室

建築基準法において、グループホームの居室は基本的に1人部屋とされています。ただし、夫婦の場合は2人同室でも入居することが可能です。居室は寝室として使用するだけでなく、共同で使用するスペースを利用する以外の時間に過ごす部屋となるため、快適に過ごせる一定の広さが求められます。そのため、床面積は収納設備を除いて4.5畳以上必要です。

また、各居室はしっかり区分されていなければならず、カーテンやパーティションによる区分けは認められていません。

居間・食堂

居間や食堂は、共同で利用する入居者同士が交流するスペースです。安全に利用できるように十分な広さが求められますし、死角がないように設計しなければいけません。さらに、利用者以外だけでなくスタッフも集まる場所なので、動きやすいスペースを確保しておく必要があるでしょう。

居間や食堂には、椅子や机などの備品も設置されます。この配置に関しても、安全を保てるように工夫しなければいけません。また、スタッフが使用することも多いスペースではありますが、事務室などは完全に区分けしなければいけないという点に注意しましょう。

水回り

風呂、洗面所、トイレなどの水回りに関しては、利用者が利用しやすいように設計されている必要があります。障がい者のグループホームの場合は、同じ障がいを抱えている利用者ばかりではないので、それぞれの利用者に合わせた内容で設置しなければいけません。

認知症高齢者グループホームでも、人によって日常生活自立度が異なるため、柔軟に対応できるように対策する必要があります。全ての利用者が安全に使うことができるように、環境を整えていきましょう。

また、水回りは事故も起こりやすい場所なので、床材なども気を配るようにしてください。

台所

台所は火を使う場所なので、特に安全性に配慮しなければいけません。利便性を確保しつつ、安全性も考慮した配置が必要です。水回りと同様に、それぞれの利用者に合わせた工夫をしていきましょう。

グループホームは安全性の確保も大切

グループホームは複数人が一緒に生活する場所なので、利用者1人1人が安心して生活ができるように、安全性を確保する必要があります。特に注意しなければならないのは、下記の2点です。

  • バリアフリー法
  • 消防法

それぞれ解説していきます。

バリアフリー法に気を付ける

グループホームは、建築基準法で「共同住宅」や「寄宿舎」に分類されており、特定建築物の対象建物です。バリアフリー法では、高齢者や障がい者がスムーズに生活できるように、建物内をバリアフリー化するように定めています。

バリアフリー法では、さまざまな箇所のバリアフリー化が必要とされています。ここでは主な基準について表でまとめていくので、参考にしてみてください。

バリアフリー法では、義務基準と誘導基準という2つの基準がありますが、義務基準はバリアフリーの最低基準、誘導基準は義務基準よりも高い基準となります。誘導基準にするかどうかは任意です。しかし、より安心・安全なグループホームであることを証明するなら、誘導基準に沿ったほうが良いでしょう。

 

場所 義務基準 誘導基準
出入口 80cm以上 90cm以上
廊下など 120cm以上 180cm以上
スロープ 片側手すり

幅120cm以上

両側手すり

幅150cm以上

お手洗い 車いす用トイレ1/建物

オストメイト1/建物

低リップ小便器1/建物

車いす用トイレ各階に原則2%以上

オストメイト各階に1以上

低リップ小便器1/各階

エレベーターと乗降ロビー 出入口幅 80cm以上

かごの幅 140cm以上

昇降ロビーの広さ 150cm角以上

出入口幅 90cm以上

かごの幅 160cm以上

昇降ロビーの広さ 180cm角以上

 

なお、各自治体によって求められる基準に違いがあります。各地域の基準についても確認しておきましょう。

消防法に準拠する

グループホームの内装では、消防法に定められている設備の設置も行わなければいけません。万が一火災が発生した際に、施設入居者の安全を確保するために各種設備を設置します。

消防法で定められる設置物は、スプリンクラー、自動火災報知機、火災通報装置、誘導灯などです。これらを設置した場合、定期的な点検も必ず行いましょう。いざというときに正しく作動してくれなければ意味がありません。

また、安全性を確保するために、定期的に避難訓練の実施も行う必要があります。

グループホームの内装工事にかかる費用

リフォームの場合の内装工事にかかる費用は、およそ300万円から500万円です。建物の築年数が経過していると補強工事が必要になる場合もあり、もう少し費用がかかってしまうでしょう。

また、グループホームの規模や設備などによっても、費用が大きく異なります。正確な費用が知りたい方は、まずは内装業者に見積もりを依頼してみてください。

内装工事の費用を抑えるポイントは?

内装工事には、どうしても費用がかかってしまいます。しかし、そんな中で少しでも費用を抑えたいという人も多いでしょう。ここでは、グループホームの内装工事の費用を抑えるポイントを3つ解説していきます。

  • 複数の業者に見積もりを依頼する
  • 居抜き物件を利用する
  • 補助金を活用する

内装工事の費用を抑えたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

複数の業者に見積もりを依頼する

内装工事を依頼する業者を決める際は、複数の業者に見積もりをしてもらいましょう。1社だけに依頼をしてそのまま契約をしてしまうと、価格の比較もサービス内容の比較もできません。相場よりも高い金額を請求されていたとしても、気付けないのです。

できるだけ安いところでお願いしたい、安くてしっかり作業してくれるところを探したいという場合は、複数社から見積もりをしてもらうようにしてください。担当者との相性も確認できるので、比較しながら自分に合ったところを探しましょう。

居抜き物件を利用する

居抜き物件を利用すれば、内装工事の費用を抑えて完成させることができます。居抜き物件は、前テナントが使用していた建物の内装や設備の一部をそのまま使用するというものです。そのまま使用できる部分が多ければ、その分内装にかかる費用を抑えられるでしょう。

しかし、先ほども解説した通り、グループホームではさまざまな条件を満たさなければいけません。居抜き物件を利用する場合は、グループホームとして使うことができる建物なのかどうか、しっかりと調査しておきましょう。

補助金を活用する

グループホームを建築する際は、補助金を利用できる可能性があります。補助金を利用することで、新築だと1ユニット2000万円から3000万円、改修工事の場合は、1ユニット1500万円から2500万円ほどの補助金を受け取ることができるため、かなり費用を抑えられるでしょう。

グループホームの内装で気になる質問

最後に、グループホームの内装を考える際に、気になる疑問について解説していきます。グループホームを利用される方の安全性を考慮するためにも、下記の点についてはどのようにするのがベストなのか、よく考えておきましょう。

  • 部屋に鍵をかける必要はある?
  • 内装業者を選ぶときのコツは?

順番に紹介していきます。

部屋に鍵をかける必要はある?

グループホームは共同生活する場所ですが、居室があり1人1人のプライベートは守られています。勝手に他の人の部屋に出入りできないようにするためにも、鍵は必要です。鍵を付けることで、入居者はより安心して生活できるでしょう。

しかし、鍵をかけてしまうことで、緊急時にスタッフがすぐに対応できないなどのトラブルが起こると困ります。スタッフが合鍵で開けられるようにするなどの対策をしておくようにしてください。

内装業者を選ぶときのコツは?

グループホームの内装業者を選ぶ際は、費用も大切ですが、アフターサポートや実績の有無も確認しておきましょう。グループホームの内装を行った実績がある業者だと、グループホームという建物への理解があり、安心して依頼できます。実績が少ない業者の場合、グループホームの特性として取り入れなければならないことを理解しきれていない可能性もあるからです。実績が多く、なおかつ丁寧に対応してくれる業者だと安心です。

まとめ

グループホームの内装における注意点や条件をお伝えしました。グループホームは、バリアフリー法や消防法、建築基準法など、さまざまな法令を遵守して内装を考えなければいけません。居室、居間・食堂、水回り、台所など、部屋ごとの注意点も意識しながら内装レイアウトを行っていきましょう。

グループホームの内装にお悩みの方は、ぜひ山吉吉田にご相談ください。グループホームの内装工事にも対応しており、大規模現場の工事も担当していた実績も豊富です。お問い合わせは、お問い合わせフォームから受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

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