工場は内装のデザインが重要!ポイントや注意点を詳しく解説
2023/03/01
コラム

建物の工事には、外観工事と内装工事があります。建物内の設備や装飾の施工などを行う内装工事では、建物の用途に合わせた内装を考えなければいけません。

さらに、工場の内装工事の場合は普通の建物とは異なり、工場の設備などに合わせた内装工事が必要です。工場の内装は作業効率に大きく影響するため、ポイントを抑えて内装をデザインしましょう。

この記事では、工場の内装が大切な理由、工場の内装のポイント、内装を行う際の費用や流れなどを詳しく解説していきます。工場の内装デザインにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

工場の内装が大切な理由  

工場を建てる際、外観にこだわる企業はとても多いです。なぜなら、外観はその会社のイメージになりますし、工場の認知度にもつながるからです。工場でどのようなものが生産されているのかといった点も外観から判断できれば、より一般消費者に知ってもらいやすくなります。

そのため、工場の外観では、企業のイメージカラーを取り入れていたり、シンボルとなるロゴやマークなどが大きく描かれていたり、モニュメントが設置されていたりなど、さまざまな工夫をしている工場も少なくありません。

しかし、工場では外装だけでなく内装も大切です。内装がしっかり考えられていると、作業をする際の動線がスムーズになり、作業効率がアップしやすくなります。作業効率が良くなれば生産性も向上し、業務が効率化されるでしょう。工場の内装はなんとなくで決めるのではなく、ポイントを抑えてデザインするようにしてください。

工場の内装でのポイント:センサー

企業のDX化が進む中、工場でもlotシステムの導入などが進められています。工場ではさまざまな設備機器が導入されていますが、これらの機器の一部でも異常が発生すると、業務が停止してしまうのです。

そこで、工場では生産性向上のため、設備稼働監視システムの導入が行われる事例が増えています。これを設置することで、工場内の設備に異常が発生した際にいち早く気がつけるようになるのです。

ここでポイントとなるのが、設備の監視をするために必要なセンサーやカメラの設置場所です。工場の内装を行う際は、どの設備をどのようにチェックしておかなければならないのか把握した上で、センサーやカメラを設置しなければいけません。また、センサーにもさまざまな種類があるため、それらのセンサーに適した配置場所を選ぶ必要があるのです。

工場の内装でのポイント:断熱・遮熱

工場は鉄骨造りの建物が多く、熱の伝導率が高いです。さらに、風通しも良くありません。夏の暑い時期になると、工場内の温度が40℃を超える場合もあります。中で働く人にとっては、かなり過酷な環境です。

もちろん、空調を使用するので工場内の室温は管理されますが、建物自体が暑くなりやすいので、空調の効きが良くないということが起こります。この環境を少しでも良くするためには、工場の内装では断熱や遮熱にこだわりましょう。断熱や遮熱の効果がある内装にすれば、光熱費を抑える効果も期待できます。

具体的な方法の1つとしては、屋根からの熱を防ぐために、遮熱・断熱塗料を屋根に塗るなどが挙げられます。遮熱塗料は、太陽の熱エネルギーのおよそ90%を反射させることで、屋根の表面温度を上げないようにするものです。断熱塗料は、熱の侵入を防ぐ構造になっています。これらの塗料を塗ることで、工場内に熱をこもりにくくし、空調の効きも良くしてくれるのです。

ここでは、断熱・遮熱の方法をより詳しく解説します。

断熱材の施工

断熱材の施工の主な方法は、外断熱と内断熱の2つです。外断熱の場合は、建物の外から全体を断熱材で覆います。柱に邪魔されずに断熱材をしっかり貼り付けられるので、隙間のない高断熱な状態を作り出すことが可能です。

内断熱は室内から断熱する方法で、建物の内側、室内側の壁に断熱材を取り付けます。部分的に貼り付けられるのがメリットです。

外側から行うか、内側から行うかは、工場の規模や用途でも変わってくるでしょう。断熱材は、鉱物繊維系・木質繊維系・発泡プラスチック系・発泡ウレタンフォーム系などがあり、これらの中からより適した断熱材で施工します。

内窓・専用フィルムの取り付け

工場内の室温が上昇する原因としては、窓も関係します。内窓を追加したり専用フィルムを貼ったりすると、工場の窓から入る熱エネルギーを防げて、断熱・遮熱効果が上げられるのです。

遮熱・断熱のフィルムを貼ると、適量の可視光線だけを取り入れてくれて、太陽の熱エネルギーの侵入を90%防いでくれます。このフィルムは金属層でできているため、自然災害の際の窓ガラスの割れ防止効果が期待できるのも特徴です。内窓を追加する方法もありますが、フィルムのほうがより簡単に施工できるでしょう。

遮熱カーテンの設置

高い断熱効果があるカーテンを遮熱カーテンと呼びます。遮熱カーテンは、熱が部屋に入るのを適度に防いでくれる効果があり、取り付けるだけで遮熱効果が得られるのが特徴です。窓から入ってくる熱を簡単に防げる上に、費用を抑えながら遮熱効果を出すことができます。費用面に余裕がない場合は、遮熱カーテンの設置を検討してみると良いでしょう。

工場の内装でのポイント:照度

工場の事業内容によっても異なりますが、工場内には製品の製造ラインや倉庫、事務室、更衣室、休憩室など、さまざまな空間があります。そのため、工場の内装では、それぞれの用途に合わせた明るさを保たなければいけません。明るすぎても暗すぎても仕事がしにくいでしょう。

工場では、基準となる照度が設定されているので、これを参考にして明るさを決める必要があります。

工場の照度の基準

節電のために部屋を暗くするといった対策を取る工場もありますが、指定された明るさは保たなければいけません。指定の明るさよりも暗い状態で作業を行うと、作業員のミスにつながる可能性もあります。照度の基準は下記の通りです。

 

照度(lx) 適した場所 どのような作業を行うのか
75~150 出入口、通路など ごく粗な作業
150~300 電気室や空調機械室など 粗な作業
300~750 制御室や会議室 製造工程における一般的な視作業
750~1500 設計室や事務室 繊維工場における選別や検査

印刷工場での校正

化学工場での分析

1500~3000 制御室 精密機器や電子部品などの製造、印刷工場などの細かい作業

 

参考:「工場の照度基準( JIS Z9110 )

作業区分ごとの照度の基準

工場の場合、どのような作業を行うのかによっても、適した明るさが異なるのです。労働安全衛生規則第604条で定められている照度の基準では、下記のように記載されています。

  • 精密な作業では300lx以上
  • 普通の作業では150lx以上
  • 粗な作業では70lx以上

 

このように、安全に作業をするために決められている基準があるため、事業者側ではそれを守って照度の設定をしなければいけません。

また、工場で取り扱っている製品などによっても、必要な明るさは異なります。例えば、精密機器や電子部品など細かなものをチェックする作業場では、正確に手元を確認しなければならないため、1500〜3000lxが必要です。一方で、繊維工場での選別や検査、印刷工場での校正作業などでは、読書に必要な明るさの2倍ほどである750〜1500lxがあれば良いとされています。このように、工場ごとに必要な明るさの基準が変わるため、自社の工場にはどのくらいの照度が必要なのか、チェックしておきましょう。

明るさを保つ方法

工場では、明るさを保つためにさまざまな工夫がされています。例えば、LED照明やスポット照明の導入などです。LED照明は、明るくしたいところにピンポイントで光を当てられる上に、目の負担が少なく寿命が長いというメリットがあります。工場の内装で照明を変更する際には、LEDの導入を検討してみてください。

また、スポット照明は、精密作業をする際に手元を明るくするのに役立ちます。全体の照度は足りているけど精密作業をするのには少し足りないという場合は、スポット照明を取り入れてみましょう。

その他にも、照明器具の汚れによる照度の低下を防ぐ「洗浄できる照明」、照度を上げられる「ルミキャップ」という照度を上げるカバーを活用するのもおすすめです。

工場の内装でのポイント:動線

工場の内装では、導線を意識して設計しましょう。作業員がどのように動くのか、商品がどのように移動してくるのかなどを把握した上で内装を決めます。

これは、作業時間の無駄を省くためだけでなく、事故を防ぐためにも重要なことです。通路の幅がしっかり取れているか、設備や各エリアまでの距離は適切か、不必要に移動する動線になっていないかなどを確認しながら内装を決めます。

まずは全体のスペースをしっかりと確認し、それから動線を分析、業務の流れに沿って設備の配置を考えます。実際に働くときのことをイメージしながら、具体的に内装を決めていきましょう。

工場の内装を行う際の基本情報

工場の内装でのポイントを詳しく理解したところで、ここからは基本情報を見ていきましょう。内装にはどのくらいの費用がかかるのか、どのような流れで行っていくのかを解説するので、参考にしてみてください。

内装にかかる費用

工場の種類やどの程度内装を行うのかによって、内装にかかる費用は異なります。ここでは、費用の目安としてみていきましょう。

できるだけ初期投資を抑えて簡易的な内装にする場合であれば、1坪20万円ほどからでも可能です。費用を抑えてもデザインは重視したい、ある程度おしゃれにしたいという場合は、1坪あたり30万円ほどから工事ができます。デザインに妥協せず、内装をしっかりさせたい場合は、1坪50万円くらいと考えておきましょう。ただし、依頼する施工会社によって値段は変わります。費用を抑えたい方は、複数の業者から見積もりを取って、大体の相場を確認してから選ぶのがおすすめです。  

内装を行う流れ

内装工事には、軽鉄工事、ボード工事、クロス工事、塗装工事、左官工事、床仕上げ工事、木製建具工事などがあります。内装工事を行う際は、着工から1〜2ヶ月ほどの期間がかかります。完成させたい日にちが決まっている場合は、逆算したスケジュールを立てなければいけません。

内装工事を行う際の大体の流れは、下記の通りです。

  • 内装工事業者を選定する
  • 現地調査を行ってもらう
  • 見積もりをしてもらう
  • 契約をする
  • 工事を開始する(給排水設備工事、内装下地工事、電気設備工事、内装仕上げ工事など)
  • 各種検査を行う
  • 引渡しをしてもらう

複数の内装業者に見積もりを依頼する場合は、現地調査などを数回繰り返さなければいけません。すぐに良い業者が見つかるとは限らないので、早めに行動をしましょう。

一部の工場・倉庫には内装制限があるので注意

建物の内装工事で注意しなければならないのは、特殊建築物にあたる一部の建物では、内装制限が発生するということです。内装制限が必要な建物はいくつかありますが、工場と関係するものとしては、自動車車庫・自動車修理工場、倉庫などが挙げられます。ここでは、それぞれの制限を見ていきましょう。

自動車車庫・自動車修理工場

自動車車庫や自動車修理工場では、壁の仕上げ材や天井の仕上げ材が準不燃材料でなければいけません。火災発生の危険性が高いため、これらの制限が設けられているのです。また、車路や各部屋、通路、階段なども準不燃物が使われていなければいけないという点にも注意しましょう。

倉庫

建築制限は、火災の際に炎が広がるのをできるだけ防いで、中にいる人が安全に非難できるようにという目的があります。倉庫の場合は耐火に関する構造制限があり、床面積1500㎡以上で、準耐火建築物、3階以上の階が200㎡で耐火建築物となっていなければいけません。

また、防火区画も一定の面積ごとに設けなければいけない、高さが1.2m以上の壁や天井への内装仕上げ材は不燃材料や準不燃材料を用いなければならないなどが定められています。

なお、不燃材料は、コンクリート、ガラス、金属板、モルタル、厚さ12mm以上の石膏ボードなどです。準不燃材料は、厚さ9mm以上の石膏ボードや厚さ15mm以上の木毛セメント板などが挙げられます。

まとめ

工場の内装は、職員が働きやすい環境を提供して、作業効率を上げるためにもとても重要です。センサー、断熱・遮熱、照度、動線などを意識しながら、内装のレイアウトを検討してみてください。

また、一部の工場や倉庫では内装制限があるので、当てはまる場合は注意しましょう。

工場の内装に悩んでいる、工場の内装工事ができる会社を探している人は、ぜひ山吉吉田へご連絡ください。小さな工事はもちろん、工場や病院などの大きな施設の塗装工事や防水工事など、さまざまな工事に対応しています。アフターフォローも丁寧に行っているので、内装にお悩みの方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

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